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メルセデスが失ったもの(失笑編)
  
 

 
 

変速機のセレクタに刻まれた段々は、通称「ジグザグ・ゲート」と呼ばれ、かつてはメルセデスだけのものでした。
しかし、今ではその特許も切れ、世界中のメーカーがこぞって真似しています。

このレバー、かつては指一本でも軽く操作でき、その「カタカタ」という動作音はとても小気味良いものでした。
しかし今は、動作に結構な力が必要で、挙句にブレーキを踏まないとPレンジから抜けなくなってしまいました。

まぁ、その方が安全と言われればそうなのかも知れないのですが……


ポルシェほどではありませんが、メルセデスのドアが閉まる際の「ガッ」という音は、それはそれは独特で、「一旦閉まればボディが潰れても絶対に開かないぞ」という安心感がありました。

W169では、ドア・キャッチャーからして貧弱になってしまいましたから、今はもうその音を聞く事はできません。

ま、たとえ貧弱になっても、有事に開かなければ問題ないのですがね。

 


観音ワイパーが悪いとは言いませんが、ワイパーでは常にイノベーションを起こしてきたメルセデスにしてはお粗末な仕事です。

この拭き残しの多さは極太のAピーラーとあわせると、かなりの視界の妨げになってしまいます。

雪道での事を考えると、この拭き残しの量は理解できなくもないのですが、それを克服してこそメルセデスだと思うのです。


リモコンのドアロックになってから、施錠に関する仕様が変更になっている様です。

以前は、ライトのレベリング動作を含めてバキューム機能により動作していた施錠・開錠が電磁式となりました。

バキューム式の「キュゥー、スコッ、スコッ、スコッ、スコッ(←4枚のドアロックが動作するのにはタイムラグがある)」という音が、騒々しい「ガコッ」という音に変わってしまい、「何だかなー」って感じです。


これも、リモコン・キーならではの仕様変更ですが、以前のメルセデスだと、ドアを開ければ無条件にパワー・ウィンドウが動作していました。
これは、車を下りてから窓が開いている事に気づくユーザーの為の配慮でした。

今は、キーを抜いてドアを開けるまでなら、パワー・ウィンドウが動作する様、仕様変更になりました。
ドアを開けた後は、リモコン・キーを操作して窓を閉めます。

これは、今の仕様の方が理にかなっているかもしれませんが、リモコン・キーの電池が切れれば全てが無意味になってしまうリスクもあります。

未だに、サンルーフにはバックアップの手動ハンドルを装備するメルセデスは、そういった電気的なリスクをあまり負いたがらない傾向にあった様な気がするのですが……
ま、便利だからいいんですけどね。


メルセデスのハンドルは、よく切れる事に定評があります。
オーバーハングの小ささとフロント・サスのジオメトリーの効果もあるのでしょうが、思った以上に小回りが利き、ハンドルをロックさせる事は殆ど稀です。

ボールナット機構独特の、回しても回しても曲がらないハンドルを、一定以上回したあたりから一気に切れ込み、ガバッと向きが変わる特性は独特の物でした。

W169はと言えばラック&ピニオン機構で、ハンドルを切ればすぐにロックしてしまいます。
FFという事もあり、前輪の切れ角が少ないという事もあるのでしょうが、この程度の切れ角では実用を満たしていない気がしなくもありません。


 
 
 
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